ルネ・マルタン、東京に現る!

いよいよ「熱狂の日」音楽祭2007<民族のハーモニー>の全プログラムが発表されました。みなさん、チケット購入に向けての準備はオーケーでしょうか。
プログラムの発表は、さる15日に東京国際フォーラムで行われました。といっても別に年末ジャンボ宝くじの抽選みたいに、お客様立ち会いのもとで行われたわけではなく、マスコミの方々をはじめとする約150名の皆さんにお集まりいただき、記者会見という形で発表されたわけです。アーティスティック・ディレクターのルネ・マルタンさんが来日して発表されたプログラムの全貌は、すでに皆さんもご存知の通り(まだ入手していないという方は、「熱狂の日」オフィシャル・ウェブサイトから!)。
記者会見には「熱狂の日」アンバサダーであり、今年もナントを大いに満喫されたという作家の樋口裕一さん、TBSラジオで「熱狂の日」の番組パーソナリティをしているパンツェッタ“ちょいワルオヤジ”ジローラモさんも同席。ナントの様子などもビデオで紹介され、約2時間にわたって「民族のハーモニー」の紹介が行われました。
マルタンさんからは「民族のハーモニーというテーマにした理由の一つは、作曲家たちが最初に親しんだのはそれぞれの国に伝わる民謡だったんじゃないか、と思えることなんです。彼らはそれを生涯の中で芸術へと突き詰めていったんじゃないでしょうか」という話を含む今回の概要説明があり、それぞれの作曲家について、そして演奏される曲についての紹介もありました。

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マルタンさんは記者会見の前後にさまざまなメディアのインタビューを受けたようですが、記者会見の次の日には、抽選で選ばれた約120名の「熱狂の日」フレンズ会員向けに「クラシック・ソムリエ・サロン」が開催され、第1回目のゲストとしてマルタンさんが登場。今年の「熱狂の日」で演奏される曲を、次々に紹介して聴いてもらうというイヴェントが行われたのです。

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テーブルにはCDが置かれていますけれど、これを「時間が惜しい」とばかりにどんどんかけていったわけですね。この写真は後半に撮影しましたので、サロン開始時にはテーブルのCDタワーが、この3倍くらいありました。
ちょっとだけ、その模様とコメントをご紹介しましょう。

「彼はすごくいいピアニストなんだ。多くの人に聴いて欲しいですね」とオススメのイド・バル=シャイが弾くヤナーチェク
「そうだ。彼女もまだ日本では知られていないと思うけれど素晴らしい演奏をしますよ」というシャニ・ディリュカのグリーグ
「フラメンコの歌手には歌うのが難しいんですが、今回はアントニア・コントレラスに1年も前から楽譜を渡して歌い込んでもらったんです」と自信満々のファリャ「恋は魔術師」。この曲の全曲版を、しかもフラメンコ歌手が歌い語るという試みは、確かにそうそう聴けるものではありません。
「ちょっと珍しい版を使いますからね」というフォーレの「レクイエム」。(1894年のオリジナル・ヴァージョンと言っていたけれど、1893年版として流通している版のようです。「サンクトゥス」でヴァイオリン・ソロが聴ける美しい版ですね)。
「今回の<民族のハーモニー>のシンボルだと思います」というシベリウスの「フィンランディア」。

その他、ラフマニノフ、バルトーク、ストラヴィンスキーなどが次々に。それを見ていたスタッフの間では「マルタンさんは、こういう(人にすすめる)ことが本当に好きなんだろうね」という意見で一致。まるで自分の家に友だちを招いて「ほら、これいいだろ?」と聴かせてくれるような雰囲気でした。

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正味2時間。お客様からは「そんなに忙しくていつ寝ているんですか?」といった質問があったり、終了後には写真やサインを求めるお客様に応じていたりするなど、マルタンさん自身もこういった場を楽しんでいたようです。またお客様からは「マルタンさんの音楽歴を教えて欲しい」という質問もあり、「ロックやジャズばかり聴いていました。親にドラムスを買ってもらってバンドをやっていたんですが、あるときチャールズ・ミンガス(ジャズ・ベーシスト)の伝記を読んでいたら、彼が亡くなる間際に聴いていたのはバルトークの弦楽四重奏だということが書かれていたんです。私はその曲のレコードを次の日に買いに走って聴きました。それがこうして仕事をしている私の出発点だったと思います」という回答でした。既存のものにとらわれない感性は、そうしたご自身の経験から生まれたのかもしれませんね。

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さらに帰る間際、今回使われたラックスマンのオーディオに興味津々の様子。

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マルタンさんは来日すると、都内のCDショップに足を運び、毎回100枚くらい買って帰るんだそうです。もしどこかで彼の姿を見つけたら、気軽に声をかけてみてください。できましたらフランス語で。

「熱狂の日」フレンズ向けのソムリエ・サロン、次回は2月26日に行われます。ゲストはナントへ取材に行かれた音楽ライターの片桐卓也さん。その目と耳と足で体験してきたナントの模様を熱く伝えてくれるでしょう。その模様は、こちらでもレポートします。

(atsymo)

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