アンヌ・ケフェレック第2弾: マスタークラス&インタビュー編

5月4日に行われたピアニスト、アンヌ・ケフェレックさんのマスタークラスと、協奏曲のコンサート終了後のインタビューをお届けします!

マスタークラスの会場はこんな雰囲気。熱心なお客様が集っています。
レッスンを受講したのは、東京芸術大学大学院に通う多賀谷祐輔くん。曲目はドビュッシーの《喜びの島》です。

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「きょうは《喜びの島》ということですから、皆でその島へ向かいましょう」と、
ケフェレック"先生"から、たくさんの生徒たち(=お客様)へ向けてすてきなご挨拶がありました。
(通訳は矢島智恵子さん)

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独特の波打つリズムが印象的な《喜びの島》。

ケフェレック先生: ここは波が寄せてくる感じ。 あなたは小舟に乗ったことがありますか? 多賀谷くん: ありません。 ケフェレック先生: まずこの曲を弾く前に舟に乗ってみないと! →会場笑い


レッスンは1時間。部分部分のキャラクターの変化やテンポのことなど、とても良いことを仰っていたので、レポーターもメモメモ。。
そしてお客様の中に知り合いを発見!これ幸いと、感想を伺ってみました。


Iさん: 先生が素敵だった!!かすかなんだけど、ガラっと変えることが重要なんだと思いました。すごく丁寧だったし・・・
あのジャケットになりたい!!


同じく芸大でピアノを学んでいるIさん。最後のコメントはけっこう謎ですが、名ピアニストの上着になれたら自分も上手くなれるかも?ということですよね(笑)。

多賀谷くんも「感無量です」とのこと。レポーターもレッスンを受けてみたくなりました。

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さてさて、後半はインタビュー編です。
ナントはもちろん、東京の「ラ・フォル・ジュルネ」でも常連のピアニスト、アンヌ・ケフェレックさん。彼女のファンは、日本でも年々増えているようです。昨年の音楽祭でケフェレックさんのピアノに惚れこんでしまったレポーターは、粘り強い(しつこい?)アプローチの結果、今年も貴重なお話を聞かせていただくことができました。
以下、ラヴェルの《左手のための協奏曲》終演後の控え室で、ケフェレックさんに伺った内容です。通訳は同じく矢島智恵子さんにお願いしました。

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ケフェレックさん: 去年はモーツァルトのソナタを全曲演奏したので、自分が弾くので精いっぱいでしたが、今年はいくつか他の公演を聴くことができてよかったです。

MANTA: 今年もソロリサイタル、コンチェルト、マスタークラスとお忙しいですが、3種類のものをする上で、ご自身で気持ちの切り替えというのはなさっているんでしょうか。

ケフェレックさん: たとえば家の階段を上っていく時のように、階によって変わりますが、すべて音楽に関わっていることなので、私にとってそんなに大きな変わりはありません。今日のように、午後のコンサートの前にレッスンをするのはリラックスできて良いのです。レクリエーションのように感じています。でも例えば、コンサートの直前にサインを頼まれるなど、時間がなくて戸惑ってしまうことも無いことはないんです。音楽の流れが途切れてしまうことですから。でもこれは決して、嫌味や批判を言っているのではないんですよ。

MANTA: ケフェレックさんに親近感を感じておられるお客様も多いと思います。

ケフェレックさん: コンサートの後の皆さんの反応はあたたかく、私も親近感を感じていますし、感銘を受けています。サイン会でも色んなお客様に声をかけていただきます。日本人は自分の気持ちをあまり素直に表さないと思っていましたが、正直に率直な言葉で伝えていただいて嬉しいです。
日本の観客の皆さんはとても静かで、その静寂さは他の国でも類をみないものです。携帯電話の音も聞こえませんし。私の同僚たちもそう言っていますよ。

MANTA: ありがとうございます。最後に「熱狂の日」音楽祭のお客様と、これから来られるかもしれない方々へむけてメッセージをお願いします。

ケフェレックさん: これまで音楽祭はベートーヴェンやモーツァルトなど、皆さんご存知の一般的なものでしたが、今年のテーマは「民族のハーモニー」。こういう機会でなければ、なかなか聴いていただくことができない作品ばかりです。にもかかわらず、どうやら今までよりも多くのお客様が音楽祭にいらしたようなので、日本の皆さんの好奇心やその精神に嬉しく思っています。
フランスでは日曜日にちょうど、選挙が行われるところです。お金や教育、環境問題等ももちろん大切ですが、美しいこと、人間に本当に必要なことは言われていません。本質的なもの、美というもの、生活の中で味わえることをなくしてはいけないと思います。
この国際フォーラムは、建物が非常に美しいと思っています。大きな船のようですね。みんなで船出をするような気持ちになります。
(日本の皆さんへ)お越しいただきまして本当にありがとうございました。この建物の中には音楽に対する皆さんの愛を感じます。それがこれからも、常に続いていくことを心から願っています。


ケフェレックさん、ありがとうございました!

(MANTA)

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