約12時間の旅路で皆疲れ果ててはいますが、怪我や病気もなく無事ナントに到着しました!(現地時間1月29日午後8時)
気温は4℃とかなり寒いですが、天気は晴れ。
パリでナント行きの便に乗り換える途中、広い空港を早足で移動しながら、極上の夕焼けを拝むことができました。
美しい寒空と乾いた空気に包まれながら、心地よい緊張と高揚を感じています。
私たち取材班一行は休む暇もなく、会場のコングレへ。
夜9時過ぎから、さっそく2公演を聴いてきました。
ナントのLFJは、今日ですでに開催2日目を迎えていて、昨日の初日は、レオンハルト、エマール、アンデルジェフスキなど、この日だけしか出演しないⅤIPがずらり。
しかもこの3人、なんと同時刻に演奏会を開いていましたからね!
古楽の神様、現代の最先端を走る2人を、同時に競わせるなんて、おそらく世界でも初の試みだと思います。
豪華きわまりないというか、もったいないというか...。
いずれにせよ、誰ひとりとして聴けなかった私たちの後悔は、日増しに強くなっていくことでしょう。
さて、私たちが今年のナントで最初に聴いたのは、オーディションで選ばれた若者たちと、ピアニストのジャン・フレデリックが共催するバッハ作品のアレンジ・コンサート。
要するにナント版のハルモニア杯で、各出演者のファンや応援団が詰めかけていました。
私の前の席には、東京のLFJでもおなじみの知的美人ケフェレック(ピアノ)も来ていましたが、まさか応援ではないよね?(笑)。
明日インタビューできるから、クラシックの正統派がこういうスタイルをどう思っているのか、ぜひ尋ねてみよう♪
選曲も、演奏形態も幅広く、重厚なハードロック・バンドから、フレデリックの伴奏に乗せたソロのラップ風朗読など実にさまざまで面白かというのが私の感想。
それにオーディションをパスしてるだけあって、実力もなかなかでした。
それにしても、バッハがテーマのLFJが、まさかハードロックの音色とリズムで幕を開けようと思いませんでした。
早くも嵐の予感が漂っています(笑)。
続いては、昨年の東京でも大人気だったマンゴーヴァ(ピアノ)が出演するコンサートへ。
名チェリストのクニャーゼフと組んで、バッハのヴィオラ・ダ・ガンバとチェンバロのためのソナタを3曲(第1~3番)を演奏していました。
これがまた超のつく名演で、取材を忘れてすっかり聴き入ってしまいました。
クニャーゼフのチェロは、原曲のヴィオラ・ダ・ガンバを意識したにちがいない、薄めでしなやかな音色と、優美なテンポが絶品。
そして、彼の意図と呼吸をすべて理解したマンゴーヴァが、巧みなぺダリングから生まれる多彩な弱音で、知的によく歌うんです。
もしかしたらこれが今年のナントのベスト公演になるかもしれないと思うほど、早くも幸せな気分に包まれています。
聴衆もほぼ全員がスタンディング・オベイションの大盛況ぶり。
クニャーゼフたちも、その熱狂にこたえて、アンコールを3曲も大判ぶるまいしていました。
いやはや、LFJ万歳!!音楽はまだまだ元気だし、可能性に満ち満ちていることを教えられた初日でした。
明日は、ナントのLFJが毎年力を入れている刑務所の慰問コンサートに行ってきます。
それにコルボ、アンタイといった巨匠にもインタビュー予定なので、色々とお楽しみに。
それではまた明日。おやすみなさい。 (W)