夫婦の愛が大きく羽ばたいて・・・

「とどけ!音楽の力 広がれ!音楽の輪」
3月に発生した東日本大震災の影響から、縮小規模で行われることとなったラ・フォル・ジュルネですが、今年はこの合言葉とともに、初日から力強く展開しています。
例年は5000人が収容のホールAが最大の会場として使われていますが、今回は電気系統の問題から使用が不可能となってしまいました。
というわけで、今年の最もっとも大きなホールは1494席のホールC!初日、朝一番のコンサートに出かけてきました。

伊藤恵さんのピアノソロ、ジョシュア・タンさんの指揮、そして桐朋学園オーケストラの皆さんによる演奏で、曲目はなんと、シューマン夫妻のピアノ協奏曲でした!
つまり、、シューマンの妻、クララ・シューマンのピアノ協奏曲イ短調Op.7と、ロベルト・シューマンのピアノ協奏曲イ短調Op.54を2曲続けて聴けてしまうというこのコンサート。朝一から夫婦の愛炸裂!熱いです!

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喝采で迎えられた伊藤さん、ジョシュアさん、若き桐朋学園の皆さん

夫婦二人の協奏曲を聴き比べてみると、面白いですね。
1曲目の妻クララの作品は、波のように情熱が次から次へとほとばしる。
2曲目の夫ロベルトは、時に甘く、時に激して歌われる。
さすがは夫婦。どちらも30分近くの大作です。
うん、この二人なら、強い愛情で結ばれるよね・・・と勝手に相性診断をしてしまいました。

伊藤さんのきめ細かく美しい音の一粒一粒が、ジョシュアさんの繊細な指揮、そしてフレッシュな桐朋のオーケストラと相まって、とても美しい舞台となりました。

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二人のシューマンのスコアを手に・・・

2曲のソロを終えられて、楽屋に戻られる伊藤さんにコメントをいただきました。
「クララあってのロベルト、ロベルトあってのクララという、夫婦の美しい思いが広がる世界を弾かせていただいて、とても幸せでした。ジョシュアさんはリハーサルからとても素敵な演奏をしてくださり、若いオーケストラの皆さんも、フレッシュなエネルギーを感じさせてくれました。」

そして、日本が今、大変な難局を迎えている中で、このようなメッセージをいただきました。

「音楽というのは、希望の形のひとつ。『明日世界が終わるとしたら、あなたはなにをする?』という問いに対して、『一粒の麦の穂の種を植える』という言葉が聖書にあります。その言葉も、明日が必ずあるという希望の形の言い伝えですね。私たちがどんな状態でも、希望を捨てず、痛みを分かち合うことが大切だと思います。」

まさに演奏で、会場を一つにして下さった伊藤さん。ありがとうございました。

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シンガポールの注目の指揮者、ジョシュア・タンさん(右)も、コメントを下さいました。

「歴史の上でも未曾有の大惨事の中、音楽は大きな慰めを与えてくれると思います。私たち音楽家はこのような時に、演奏することで社会に貢献できるものと信じています。僕は日本にたくさんの大切な友達がいます。ですから、状況がすこしでも早くよくなってほしいと祈っています。」

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演奏を終えられたばかりの桐朋学園のチェロの皆さん。
3年生の鎌田さん(一番右)はソロパートを担当。
「お客様の前で気持ちよく演奏することができました!ありがとうございました。」

夫婦の愛が、音楽となって羽ばたき、私たちを元気付けてくれたように思います。
みなさんお疲れ様でした!

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