弱冠二十歳の音楽家の脳内?!

ピアノを聴いているよりも、その人の脳内で作り出されている音楽を、ズバリ目の前に突きつけられている感じ?!そして、コチラの脳内も撹拌されてしまうような体験!

弱冠二十歳のピアニスト、期待の俊英・北村朋幹さんのソロコンサートを聴いてきました!
身体全体から溢れ出る音楽・・・もしかしたら、彼の脳内の音楽は、ピアノでは表現しきれないくらい壮大なのかもしれない。なにかそう感じさせるパフォーマンスでしたよ。

そしてこーれーが!なんとも個性的なプログラム!書き出してみましょうね。

J.S.バッハ(北村さんによる編曲):カンタータ「おお永遠よ、汝恐ろしき言葉」より第5曲「満ちたれり」BWV60-5
ベルク:ピアノ・ソナタop.1
シェーンベルク:6つのピアノ小品op.19
ブラームス:6つのピアノ小品op.118
武満徹:「遮られない休息」から III. 愛の歌
ブルックナー:幻想曲ト長調 WAB.118より第一楽章

どうですか、この内容。一体全体、どういうコンセプトなのか、知りたいですよね?
というわけで、集中度マックスの演奏を終えたばかりの北村さんに、直撃インタビューしてきました。

本番の衣装から、はやくも着替えてしまった北村さん。ちょっとハニカミ・ショット。

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「ラ・フォル・ジュルネでは、僕はいつも一公演はテーマ作曲家の直球プログラムを、もう一公演はそのテーマからいかにいろいろなことができるか、自分のなかでいろいろと工夫してプログラムを組んでいます。個人的にそういうのが好きなんですね。
 前回はショパンがテーマだったんで、ショパンというタイトルが付いている曲や、ショパンに捧げられた曲だとかを集めて、ショパンを一曲も弾かない、ということをやったんです(笑)。
今回は、ブラームスのop.118については、もう何年憧れたかわからない曲。でもずっと弾くのが怖くて初めて弾かせていただいたんです。この曲をメインとして、そこから派生して同時代のシェーンベルクとベルク作品を。
 シェーンベルクは本当にブラームスのことが好きで、彼の作品を編曲などもしています。その弟子にベルクがいて、彼は本当にすばらしいソナタを一つ書いている。でも僕は彼の作品の中ではヴァイオリンコンチェルトが一番好きなんです。その作品の中には、実はバッハのコラールが引用されている。その原曲を、今回僕のブログラムで最初に弾いたんです。苦悩は全て地上に残し、私は天に昇るといったような意味の歌詞がついたコラールです。
 バッハのことを本当に愛していたのが武満で、さらに武満はヴァイオリンとオーケストラのための作品ベルクの作品を引用しているんです。
 最後のブルックナーは、冒頭のバッハに近く、それでいてもっと真っ白な世界というか、素敵な作品が見つかったので、取り入れました。ブルックナーはブラームスの友達でしたしね。」

・・・なるほどぉ。北村さんの頭の中では、すべての曲につながりがあったんですね。
北村さんの音楽への熱意と造詣の深さには、驚かされてしまいます。現在、東京藝術大学2年生。これからの成長が、恐ろしいくらいに楽しみです。
ありがとうございました!

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