ルネ・マルタンが30歳の時にたちあげ、今では世界的に有名な南仏プロヴァンスのピアノの祭典、ラ・ロック・ダンテロン音楽祭も今年で32回目。7月21日~8月22日の約1か月間、巨大なプラタナスの樹が茂るフロリアン公園の野外ステージをメイン会場に、修道院、教会、美術館など12か所の演奏会場で、400人を超えるアーティストにより、80回ものコンサートが繰り広げられた。出演はベレゾフスキーやケフェレックなどのLFJ 常連だけでなく、ユリアンナ・アヴデーエワ、レイフ・オヴェ・アンスネス、ラファウ・ブレハッチ、ネルソン・フレイレ、ダヴィッド・フレイ、グレゴリー・ソコロフ、ゾルタン・コチシュなど巨匠から若手スターまで、まさにピアニストたちの饗宴。
音楽祭のメイン会場、フロリアン公園
今年はラ・ロックで長年聴衆に愛され続け、今年も出演予定であったブリジット・エンゲラーの逝去を悼んで、「エンゲラーに捧げるコンサート」がボリス・ベレゾフスキー、アンリ・ドマルケット、ジェラール・コセ、アンヌ・ケフェレック、パリ音楽院の愛弟子たちによって行われた。
日本人の活躍もめざましく、仲道郁代は香港シンフォニエッタと協奏曲の夕べ、広瀬悦子はシンフォニア・ヴァ ルソヴィアと協奏曲、児玉桃は美術史の専門家とのトーク付リサイタル、横山幸雄はジャック・ルヴィエのスペシャル・コンサートに出演、指揮の山田和樹はパリ室内管を振り、とそれぞれがフランスの聴衆を沸かせた。
ラ・ロック・ダンテロン音楽祭を描写するとき「musique, magique, éclectique - ミュジーク(音楽)、マジーク(魔法の)、エクレクティーク(電気ショックのように強烈な.)」と韻を踏んだ言葉がフランス人からでてくる。昼間は灼熱の太陽に照らされ(といってもカラリとした気持ちの良い暑さだが)、閑散とした公園も、夕方になると心地よい風が吹き始め、 まるで別世界となる。樹齢数百年のプラタナスの並木には、樹の精が宿っているのだろうか。 まるでその樹の妖精がバトンを振りおろしたかのように、音楽家がひとたび音を鳴らすやいなや、魔法の瞬間がはじまる。夜の空気によって樹の香りは一層強く感じられ、蝉や虫の鳴き声が音楽に寄り添うように感じられる。自然の素晴らしさに触発されて作曲した音楽家が多い、と語るルネ・マルタンの言葉もうなずける。
サイン会の様子(ジャン=フレデリック・ヌーブルジェとモディリアーニ弦楽四重奏団のメンバー)
音楽祭のスタッフのスタイルもまさに自然体。ルネ・マルタンは半ズボンとサンダルでいそがしく駆け回り、会場案内のボランティアは音楽愛好家の村の住民が笑顔で受け持つ。「ボランティアの特典はね、コンサートを最前列で聴けることなのよ」と話す初老のご婦人の笑顔が心に残る。毎朝、野外ステージには数台のピアノが並べられて、出演者がピアノ選びをするが、音楽好きの村人たちが集まってきて興味深げに眺めていたのも印象的だった。
日本人の活躍もめざましく、仲道郁代は香港シンフォニエッタと協奏曲の夕べ、広瀬悦子はシンフォニア・ヴァ ルソヴィアと協奏曲、児玉桃は美術史の専門家とのトーク付リサイタル、横山幸雄はジャック・ルヴィエのスペシャル・コンサートに出演、指揮の山田和樹はパリ室内管を振り、とそれぞれがフランスの聴衆を沸かせた。
ラ・ロック・ダンテロン音楽祭を描写するとき「musique, magique, éclectique - ミュジーク(音楽)、マジーク(魔法の)、エクレクティーク(電気ショックのように強烈な.)」と韻を踏んだ言葉がフランス人からでてくる。昼間は灼熱の太陽に照らされ(といってもカラリとした気持ちの良い暑さだが)、閑散とした公園も、夕方になると心地よい風が吹き始め、 まるで別世界となる。樹齢数百年のプラタナスの並木には、樹の精が宿っているのだろうか。 まるでその樹の妖精がバトンを振りおろしたかのように、音楽家がひとたび音を鳴らすやいなや、魔法の瞬間がはじまる。夜の空気によって樹の香りは一層強く感じられ、蝉や虫の鳴き声が音楽に寄り添うように感じられる。自然の素晴らしさに触発されて作曲した音楽家が多い、と語るルネ・マルタンの言葉もうなずける。
サイン会の様子(ジャン=フレデリック・ヌーブルジェとモディリアーニ弦楽四重奏団のメンバー)
音楽祭のスタッフのスタイルもまさに自然体。ルネ・マルタンは半ズボンとサンダルでいそがしく駆け回り、会場案内のボランティアは音楽愛好家の村の住民が笑顔で受け持つ。「ボランティアの特典はね、コンサートを最前列で聴けることなのよ」と話す初老のご婦人の笑顔が心に残る。毎朝、野外ステージには数台のピアノが並べられて、出演者がピアノ選びをするが、音楽好きの村人たちが集まってきて興味深げに眺めていたのも印象的だった。
ハオチェン・チャンによるピアノ選定