華やかなりしパリ。しかし、そこに生きる人々の心には、光もあれば、影もある。
そんな一瞬一瞬を切り取るように、音楽と舞踏とで表現されたのは、ホールC「パリ×ダンス」の公演。
ヴォックス・クラマンティスによるア・カペラの演奏にのせて、勅使河原三郎さんをはじめとしたダンサー5名の舞踏。
グレゴリオ聖歌、デュリュフレ、マショー、プーランク、メシアンの静謐な、それでいて力強い宗教歌曲。ときに重力を失い、ときに深く地面や天とコンタクトを取るような舞踏。
全体に明るさを極限まで落としたホール空間。そこにふと強烈な一筋の光が差し込まれる。
勅使河原さんは、今回の舞踏をどのような思いで創り上げられたのでしょうか。終演後にお話しを伺いました。
「音楽に対する尊敬をこめて踊りました。とても精神性の高い音楽ですからね。それを大切にしました。歌われているのはキリスト教の音楽ですが、お客さんの中にはクリスチャンの方もいらっしゃれば、そうじゃない方も大勢いらっしゃいます。ですので、宗教性というよりは、純粋な音楽性、それとダンスとが出会う場として踊りました。とてもやりやすかったですよ。」
ヴォックス・クラマンティスの指揮者、トゥルヴェさんのご感想は?
「勅使河原さんとスピリチュアルな対話をするように演奏しました。きっとダンサーたちも、私たちの音楽からスピリチュアルなものを受け取って表現していたと思います。
来年ですか?また日本に来たいですね!」
心に深く深くのこる公演を、ありがとうございました。