パスカル・アモワイエル

ピアニストであり、ストーリーテラーでもあるアモワイエルが、世界史上もっとも偉大な人物の一人である楽聖ベートーヴェンをテーマに、音楽スペクタクルを創り上げました。世界中の人々が称賛するベートーヴェンの作品の背後には、音楽によって博愛への道を追求した一人の人間が潜んでいます——このベートーヴェンの素顔を明かすべく、アモワイエルは入念かつエキサイティングなリサーチにもとづきながら、私たちを全32曲のピアノ・ソナタの世界へといざないます。アモワイエルは、ソナタの多くの抜粋を奏でながら、27歳で聴覚の衰えを悟ったベートーヴェンの悲劇的な運命について語ります。不幸せな幼年時代、難聴、失恋……多くの逆境にみまわれたベートーヴェンはしかし、先見の明のある寛大なヒューマニストでもありました。アモワイエルは類まれな感受性と技量によって、ベートーヴェンが音楽を通じて人類に示している「歓喜」を、私たちに伝えてくれます。（フランス語上演、字幕付き）

２人の熟練ピアニストによる即興演奏対決
ダニエル・シュタイベルトはウィーンに来た当時、ベートーヴェンとピアノで演奏対決をすることになった。フェルディナント・リースによれば、彼はベートーヴェンとの対決に敗れはしたものの、逆さまに譜面台に置かれた楽譜をもとに、そのテーマを見事に即興に生かして演奏したという。ヘンデルの時代から馬上槍試合は盛んにおこなわれていたが、20世紀以降は演奏家同士のコンクールがそれに代わったといえるだろう。