ルネ・マルタンからのメッセージ
いつの時代にも、作曲家たちは新たなインスピレーションを求めて異国の地を目指しました。彼らは、異文化から吸収したさまざまな刺激を、自分たちの創作に取り入れたのです。音楽祭の中では、作曲家たちの旅の軌跡を多彩なプログラムと共にご紹介いたします。
一例を挙げれば、18世紀には、モーツァルトがヨーロッパ中を旅しながら名作の数々を遺し、晩年のハイドンもロンドンで暮らしながら一連の交響曲を発表しています。そして、ロマン派を代表する「旅人」と言えばリストでしょう。真の「コスモポリタン=世界市民」であったリストは、イタリア滞在中に得たインスピレーションを《巡礼の年:第2年「イタリア」》に昇華させました。また、ラヴェル(《スペイン狂詩曲》)やシャブリエ(狂詩曲《スペイン》)も、スペインにちなんだ美しい音楽を残しています。このように、今回のLFJでは、さまざまな時代の作曲家たちが旅先で得た刺激の下に書き上げた名作の数々が主役となって、音楽祭を華やかに彩るのです。
アーティスティック・ディレクター
ルネ・マルタン
登場する主な作曲家と演奏曲目
18世紀~ ロマン派の作曲家たち
- モーツァルト(1756-1791):ピアノ協奏曲第25番、クラリネット協奏曲、オペラ《後宮からの誘拐》ほか
- ハイドン(1732-1809):弦楽四重奏曲第66番、ソナタ第50番~第52番ほか
- リスト(1811-1886):ピアノ協奏曲第1番&第2番、巡礼の年、旅人のアルバム ほか
- ベルリオーズ(1803-1869):交響曲「イタリアのハロルド 」、序曲「ローマの謝肉祭」
- メンデルスゾーン(1809-1847):交響曲第4番「イタリア」、幻想曲「スコットランド・ソナタ」
19世紀 ロシアの作曲家たち
- グリンカ(1804-1857):スペイン序曲第1番 「ホタ・アラゴネーサによる奇想曲」
- チャイコフスキー(1840-1893):イタリア奇想曲、弦楽六重奏曲 「フィレンツェの思い出」 ほか
- リムスキー=コルサコフ(1844-1908):交響組曲「シェエラザード」、スペイン奇想曲
- ラフマニノフ(1873-1943):ピアノ協奏曲第3番、パガニーニの主題による狂詩曲、楽興の時 ほか
19世紀 フランスの作曲家たち
- サン=サーンス(1835-1921):アルジェリア組曲、ピアノ協奏曲第5番「エジプト風」、バッカナール ほか
- ラヴェル(1875-1937):スペイン狂詩曲、ピアノ協奏曲、ヴァイオリン・ソナタ、「鏡」から 海原の小舟 ほか
- シャブリエ(1841-1894):狂詩曲「スペイン」、オペラ・コミック「いやいやながらの王様」(抜粋) ほか
- ミヨー(1892-1974):ニューヨークのフランス人、スカラムーシュ、屋根の上の牡牛
- イベール(1890-1962):寄港地、遊戯、祝典序曲 ほか
19世紀~20世紀 スペインの作曲家たち
- アルベニス(1860-1909):旅の思い出 から「海にて」、組曲「イベリア」第3巻から 第9曲ラヴァピエス
- ファリャ(1876-1946):スペイン舞曲、バレエ《恋は魔術師》から 火祭りの踊り
- ロドリーゴ(1901-1999):アランフェス協奏曲、3つのスペインの歌から 第9曲アデーラ