音楽に酔いながら、500回目を迎えたい

樋口裕一(作家)

2005年以降、これまで私が聴いたラ・フォル・ジュルネのコンサートは、フランスのナント、東京、びわ湖、鳥栖を含めて有料公演だけで490。 おそらく今年中には間違いなく500コンサート達成! 最終日には達成を祝ってちょっと豪華なレストランでこっそりお祝いしよう! 弦楽器と歌とオーケストラが好きな私は、音楽に酔って会場内をさまよう。

5/3 (金・祝)

Morning
13110:15〜

[曲目] バルトーク:弦楽四重奏曲第4番
ドヴォルザーク:弦楽四重奏曲第12番 ヘ長調 op.96 「アメリカ」

[出演] エルメス弦楽四重奏団 (室内楽)

今年の注目アンサンブルの一つエルメス・クァルテット。 リヨンで結成された国際的なメンバーによるバルトークとドヴォルザークから今年のLFJを聴き始めたい。 東ヨーロッパからアメリカにわたった作曲家の音楽。まさに時空を超えた音楽の旅! やはり、この曲を聴いた後は、広場の屋台で無国籍料理を食べたい!
Afternoon
13517:30〜

[曲目] コルシカの伝統音楽であるア・カペラポリフォニー合唱の歌い手9名からなるタヴァーニャは、伝統音楽と現代音楽、そして聖俗を織り交ぜたプログラム“Cor di memoria”を、輝きと透明感に満ちた、息をのむような演奏でお届けします。

[出演] タヴァーニャ (声楽アンサンブル)

地中海は何度か見たし、海水に手を差し入れたこともある。 8月だったのに、水の冷たさにびっくりした。 コルシカの男声アンサンブルは想像がつかない。 あの青々とした海が思い描かれるような音楽なのだろうか。 やはり、これを聴いた後は、イタリア料理を食べたいな!
Evening
12720:30〜

[曲目] ディーヴァ・オペラ(ピアノ伴奏版・原語上演・字幕無/途中休憩15分)

ベルモンテ(スペインの貴族):アシュリー・カトリング
オスミン(太守の監督官):マシュー・ハーグリーヴズ
ペドリッロ(ベルモンテの召使):リチャード・ダウリング
太守セリム:デイヴィッド・ステファンソン
コンスタンツェ(ベルモンテの婚約者):ガブリエラ・キャシディ
ブロンデ(コンスタンツェの召使、英国人):バーバラ・コール・ウォルトン

[出演] ディーヴァ・オペラ (オペラ)

数年前、ピアノ伴奏によるモーツァルトのオペラ『コシ・ファン・トゥッテ』を聴いて、とてもおもしろかった。 今回は、トルコを舞台にした『後宮からの誘拐』。 若きモーツァルトの躍動感が爆発しそう。 せっかくだから、夕食はトルコ料理の店を探してみよう!

5/4 (土・祝)

Morning
23110:30〜

[曲目] サン=サーンス:序奏とロンド・カプリツィオーソ
フランク:ヴァイオリン・ソナタ イ長調

[出演] 辻彩奈 (ヴァイオリン)、ジョナス・ヴィトー (ピアノ)

辻さんのフランクは絶対におもしろいだろう。ロマンティックな高まりをどう表現してくれるだろう。 せっかくだから若々しくて躍動感あるフランクを聴きたい。 ただ、朝からフランクではお腹いっぱいになってしまいそう。 フランス料理かベルギー料理を食べたいところだが、ちょっと値段が張りそうだし、コレステロールも心配だから、フランスっぽいデザートくらいにしておこう。
Afternoon
21314:45〜

[曲目] サン=サーンス:アルジェリア組曲 op.60
サン=サーンス:ピアノ協奏曲第5番 ヘ長調 op.103 「エジプト風」

[出演] アブデル・ラーマン・エル=バシャ (ピアノ)、タタルスタン国立交響楽団 (オーケストラ)、アレクサンドル・スラドコフスキー (指揮者)

サンサーンスは私の好きな作曲家の一人だ。 日本ではあまり人気がないが、交響曲も協奏曲もおもしろい。 「エジプト風」は素晴らしい曲だ。 エル=バシャのサンサーンスをこれまで聴いたことがないが、考えてみると、知的で構成感のある演奏はサンサーンスにぴったりだ。 タタルスタン国立交響楽団もスラドコフスキーという指揮者もなじみがない。 興味津々。エジプトには一昨年行った。なんだか正体の知れないものを食べたが、とてもおいしかった。 「エジプト風」の後はエジプト料理を食べたいが、近くにレストランがあっただろうか。

5/5 (日・祝)

Morning
36110:00〜

ナポリを見てから死ね!

[曲目] R.シュトラウス:交響的幻想曲「イタリアから」op.16(連弾)

[出演] リディヤ・ビジャーク (ピアノ)、サンヤ・ビジャーク (ピアノ)

高台に行って、ヴェスヴィオ山を背景にしたナポリ湾を見たことがある。 が、妻が財布を盗まれ、せっかく乗ったポンペイ行きの列車が事故で停まって諦めるなど、良い思い出がない。 私はピアノ曲はほとんど聴かないのだが、リヒャルト・シュトラウスは大好き。 「フニクリ・フニクラ」の旋律の出てくるこの曲、なかなか面白い。この曲を聴いて、ナポリの思い出を美しいものにしよう。
Evening
31519:00〜

[曲目] ガーシュウィン:ラプソディ・イン・ブルー
ラヴェル:ピアノ協奏曲 ト長調

[出演] 小曽根真(p)、フランク・ブラレイ(p)、シンフォニア・ヴァルソヴィア、ミハイル・ゲルツ(指揮)

小曽根真とフランク・ブラレイ。一つのコンサートにこの二人が登場する! ピアノ曲を聴かない私もさすがに食指が動く。しかも、「ラプソディ・イン・ブルー」とラヴェルのピアノ協奏曲。 どちらも冷めたおもしろさがあり、おしゃれで、しかも深く人の心を動かす力をもっている。 今年はこのコンサートを最後にして、一人で500コンサート達成の祝杯をあげることにする。

【樋口裕一 プロフィール】